WEB制作ドキュメンタリー

今回のWEBサイトリニューアルには、石原果樹園と制作チームの「想い」が、たくさん込められています。石原果樹園の石原さん、ヤマト運輸㈱(取材当時:ヤマトフィナンシャル㈱)の岡﨑さん、㈱システムタイズの横山さん、後藤さん、片山さん。WEBサイト制作を振り返りながら、今後の展開についてもお話を伺いました。

-登場人物-

石原氏
石原氏 石原果樹園
WEBサイトリニューアルを希望
岡﨑氏
岡﨑氏 ヤマト運輸
石原氏へシステムタイズを紹介
横山
横山 システムタイズ
サイト制作の制作指揮を担当
後藤氏
後藤 システムタイズ
サイト制作のデザインを担当
片山氏
片山 システムタイズ
サイト制作の写真撮影を担当

今回、WEBサイトをリニューアルしようと思われたきっかけを教えてください。

石原氏)
以前WEBサイトをリニューアルしたのが16年前で、昨年(2020年)までは、果物の注文をFAXやメールフォームで受付していました。
それをまとめて、自分で送料を計算して、メールして、送り状を作って…。出荷時期には夜中まで発送準備をしていました。
「とにかく、ちゃんと寝たい」と、思っていたんです(笑)。

そんなとき岡﨑さんから、らくうるカート(※1)で業務効率化を勧められて、システムタイズさんを紹介してもらいました。
ネットショップを始めるなら、WEBサイト全体もリニューアルする良い機会だと思いました。
(※1)ヤマト運輸㈱(取材当時:ヤマトフィナンシャル㈱)が提供するネットショップ開業サービス

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取材04

岡﨑さんとも、長いお付き合いとのことですが。

岡﨑氏)
石原さんと初めてお会いしたのが2001年頃ですが、ご自身で最初のWEBサイトを作られて間もない頃で、これからがんばっていかれるのだろうなと思っていました。
その後、私は転勤で岡山を離れましたが、昨年(2020年)に12年ぶりに岡山に帰ってきました。
そこで「石原さん、元気にされているかな」と思って訪ねてみると、「1日は24時間」と知らないのではないかというくらい、多忙にされていました。
そこで、もしかしたら弊社が解決できる課題があるのではないかと思ったんです。
私たちがいちばん大切にしているのは、「お客様のあらゆる課題に最適なソリューションを提案すること」。
それは、IT化でバックオフィス業務を軽減し、きちんと休める時間を確保したり、本来やるべき仕事に時間を割けるようにしたりすることも含まれます。
そこで、らくうるカートを使えば、業務がもっと効率化できるのではないかという提案をさせていただきました。

  • 取材04

WEBサイト構築をシステムタイズに依頼しようと思ったのはなぜでしょうか。

岡﨑氏)
システム会社さんは何社か知っていますが、私が横山さんと初めてお会いしたとき、
同郷の西大寺出身ということもあり、初めてとは思えないくらい話しやすかったんです。
また、西大寺は若い人の就職先は多くありません。
でも石原果樹園さんでは、世代を問わず皆が元気に明るく仕事をされています。
こんなに居心地の良い場所は、ずっと残さなければならない。という地元愛もありました。
そこで、システムタイズさんを紹介したんです。
この組み合わせなら、1+1=2ではなくて、3や4、もしくは掛け算の効果がでるかもしれない。そう思いました。

取材03

横山)
石原さんと初めてお会いしたとき緊張しましたが、西大寺出身という共通点や弊社の事例をお話させていただくなかで、360°ビューや競合分析などのデータを見て「おもしろい!」と言ってくださり、少しずつ距離が縮まっていったと感じています。

岡﨑さんもいつも打合せや撮影に同席してくださり、的確なアドバイスやフォローをしてくださいました。本当に感謝してもしきれません。
私たちのようなWEB制作会社に依頼するメリットは、クライアント様の強みや良さをきちんと捉えて、上手に表現して伝えられることだと思っています。そのレベルを上げるためには知る努力が必要ですし、恐縮ですが、お客様にもお時間を割いていただかないといけません。

石原さんは多忙にもかかわらず、私たちが理解するための時間を惜しまず作ってくださいました。石原果樹園の皆さんも同様に気持ちよく協力してくださり、その空気感がありがたく、心地よかったです。
皆さんのその想いをしっかりとWEBサイトで表現して、「お客様に届くように!」と思案しながらプロジェクトを進めていきました。

インターネット販売を始めて、どんな変化がありましたか。

石原氏)
事務作業のストレスが激減しました。
サンクスメール等の自動送信機能があるし、箱のサイズによって送料が違うことも対応してくれるので、私たちの運用上、お客様への手動でのご連絡は発送通知だけでいい、というのが良かったです。
これまでは馴染みのお客様からの注文がほとんどでしたが、ネットで買えるようになってから、注文しやすくなったと言われましたし、初めて注文してくださるお客様も増えました。発送の問い合わせなどの電話が減ったのも、助かりましたね。
接客や作業もあるので、繁忙期には電話対応も難しいことが多かったんです。
ストレスが減っただけでなく、時間に余裕ができたことで、新しく始めたこともあります。

QRコードを付けたチラシを作ったり、SNSで紹介できる回数も増えたことで、広告効果も上がったと思います。
農家ということもありますが、なかなか最新のインターネット事情を知ることは難しいです。
だからこそ、プロに依頼することは必要だし、思った以上のことができて楽しいです。
1人でやっていると、時代に残された感じがしたり、ストレスを感じることも多いですが、それが軽減されたのもよかったです。
取材15
最初システムタイズさんにお願いしたのは、「農業界を突き抜けるサイトにしてほしい。岡山だけじゃなくて、日本を突き抜けるサイトにしてほしい。同じように農業をしている人や、農業を始めたいと思っている人にも、参考になるような。」というプレッシャーをかけたんです。
ただ果物を売っているWEBサイトを作る、じゃなくて、その先をみていきたい、という思いが常にある。

世の中にWEBサイトはたくさんありますが、「心の通ったもの」ということが、大事だと思うんです。
その点でも、システムタイズさんに頼んでよかったなと思いました。地元である西大寺の企業ということもありますが、人柄がいいんです。
SNSでグループをつくって、細かいところまでやりとりしたり、試食販売をしていると、差し入れを持って来てくださったり。もし自分がシステムタイズさんだったらこうするな、と思う以上のことをしてくれるんです。
プライベートでも、ご家族で果物狩りに来てくださったり、たくさんの写真を撮ってくださったり。
自分の気づかないところでも、たくさん時間を使ってくれていました。


岡﨑氏)
横山さんだけではなく、服にいっぱいモミガラがくっついても気にせず写真を撮り続けていた片山さん、納得いくまでデザインを考えてくれた後藤さん。
1人でも欠けていたら、このWEBサイトはできていなかったと思います。

取材08

それだけ思いが込められたWEBサイトを作る上で、
制作側として心がけたことはありますか?

横山)
石原さんにも岡﨑さんにも、本当に「ありがとう」と言われることがとても多くて。僕たちも自然と、「ありがとう」を伝えていました。ビジネスパートナーとして信頼しあえる関係で、「ありがとう」の輪の中で仕事をできるのが、何よりも嬉しかったです。その期待に、ただ応えたいという思いでした。

後藤)
石原さんのお話をずっと伺っていて、その思いやたくさんの情報を、どうやってサイトに落とし込んでいけばよいか、試行錯誤しました。
「このデザインだとシンプルすぎるな」とか、あしらい一つひとつにしても、「これを見たお客様は、どう感じるだろうか」と考えて形にしていきました。イラストも、たとえば直売所の絵だと、他の果樹園との違いが分からないと思い、石原果樹園を代表するブドウと梨の実をつけた架空の木を描きました。最終的に、シンプルではあるのですが、石原果樹園さんの「優しさ」が伝わるWEBサイトになったと思います。

片山)
皆さんが温かく撮影を受け入れて下さったので、現場がとても楽しかったです。
石原さんや従業員の方たちとお話していると、「石原さんの想い」「果樹園で働く方の笑顔」「美しい果物」など『光』を感じることが多かったので、写真自体にもその『光』のイメージをのせていけるように、ライティングや太陽の位置などを意識しました。
印象としては、私がただ撮影したのではなく、皆さんと共に制作した写真たちだと思います。
今回の撮影で石原さんに出会えたこと、そしてご紹介してくださった岡﨑さんには本当に感謝しています。
ありがとうございました。

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リニューアル後のWEBサイトを見た感想は、いかがでしたか。

 

石原氏)
スタッフの皆も言ってましたけど、写真がいいですよね。鳥肌が立つ、というか。

岡﨑氏)
稲の前に石原果樹園の皆さんが並んでいる写真があるのですが、石原さんがその写真をWEBサイトで見たときに、すごく感動されていたんですよね。どんなことを感じていらっしゃったんですか?

石原氏)
すごい神がかっている、と思って。僕たちはその場にいたんですけど、撮られている側には見えない風景ですよね。果樹園のメインはブドウとか梨ではあるんですが、お米の写真で。単純に、いい写真というだけではなくて、何か感じてもらえたらいいなと思います。
あの一瞬、あの日でしかなかった、あのメンバーでしかなかった、片山さんでしかなかった、システムタイズさんでしかなかった、岡﨑さんでしかなかった、という。

写真1枚に、石原果樹園のすべてが入っている、農業っていい仕事だなって思わせてくれる、そんな写真だと思います。
WEBサイトのリニューアルはできましたが、まだ、完成はしていません。果物の発送では使いましたが、果物狩りや直売のシーズンには、まだ使っていない。
お客様の本当に役に立つページになっているのか。予約システムも、メールフォームのように一方的なものではなくて、何かよい方法がないか考えています。やってみないと分からないですが。
もし自分がお客様だったら、と考える気持ちが強いので、ずっとやり続けて変えていきたいと思っています。

後藤)
石原さんのご依頼を受けて、現在(2021年4月)はフルーツ狩りの予約システムを作成しています。
お客様が気軽に予約しやすく、また石原さんが管理しやすいように細かな気配りを心がけています。
これまで制作するなかで、石原果樹園に感動する場面が何度もありました。
果物にかける想いの大きさ、お客様へのちょっとした気遣いなど、今回携わらせていただいて初めて知ったことがたくさんあります。
果樹園を丁寧に案内してくださり、その在りかたやサイトについてどのように考えているのかという熱い想いを、言葉のはしばしから受け取りました。
今このサイトをご覧になっている皆さまにも、スタッフの皆さまや果物の魅力を感じていただけたら嬉しいです。
もし興味を持ってくださったら、フルーツ狩りのご予約や果物のご注文もお待ちしております。

取材10 取材11
稲穂の写真

果樹園経営についての思いを聞かせてください。

 

石原氏)
「世の中、儲けた人が勝ち」という、分かりやすい価値観がありますが、僕は自分が死ぬときまで周りの人に喜んでもらいたい、それができる仕事をしたいと思っています。そのためには、良いモノがあっても場所があっても、知られていないと意味がない。 僕は農園もあったし、店もあったし、やるしかないという状況だった。

CMや広告よりも、WEBサイトの方が24時間365日PRできる。そう思って、20年前にWEBサイトを作りました。でも、20年たっても、岡山の農家で同じようなことをやっている人は少ない。農業はすばらしい仕事なのに、きちんと伝えないと、やりたい人も出てこない。自分がもしお客様だったら、どういうところで買い物をするかと考えたときに、「生産者の顔も見たいし、声も聞きたいし、安心して買いたい」と思ったんですよね。情報が多い方がいい。その結果、岡山や日本にお客さんが来てくれて、世界とつながっていける。SNSがあっても、WEBサイトがないとダメだと思う。それを見てうちで働きたいと言ってくれる人もいるし、取材にも来てくれる。

あと、言葉遣いにも気を配っています。スタッフ同士でタメ口が多いときは、注意します。世界につながっている仕事なんだから、もっといたわりあわないと、世界に生きている意味がないと思う。周りを幸せにしていきたい。そう心がけています。

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農業を継いで25年目ということですが、農業の魅力とは何でしょうか。

 

石原氏)
そもそも子どもの頃は農業が嫌いでした。市場との往復だけで、人との関わりがほとんどない。
「オレは活躍したいのに」って。でも観光農園で研修させていただいて、「お客さんにこんなに喜んでもらえるんだ」、アメリカで研修させていただいて、「こんなに世界とつながっていけるんだ」と、意識が変わりました。

実際に農家を継いでからは、お客様から、「親が入院していたとき、(食が細くなっても)石原さんのブドウは食べやすいって言ってくれて、すごく助かりました。亡くなったんですが、仏壇に供えさせてください。」という言葉をいただいたり。自分の知らないところで、人の命を支えてるんだなって。こんなに人を幸せにできて、ありがとうって言ってもらえる仕事は、他にないと思う。

そもそも、やりたいことをやったんじゃなくて、長男だからやるべき仕事をやっただけなんだけど、それをやりたい仕事にしたいと思って、ここまで来ました。WEBサイトがあれば、たくさんの人と関わっていける。「農業って大変でしょう」と、よく言われるけど、それはお互い様で、皆さんの仕事をやれ、って言われたってできない。慣れるか慣れてないかというだけの話なので。
「農業っていい仕事ですよ」っていう人は少ないので、「オレは言うよ」と思っています。

 

片山)
私自身、石原さんと出会って農業への印象が変わりました。
サイトをご自分で作り、SNSで発信し、新しくチャレンジできることはないかと常に進化することに全力を注いでいるクリエイティブな石原さんは、私が知っている農家の方とは異なっていました。

石原さんから日々、WEBサイトへの期待や想いを感じるなかでの制作には、良い緊張感がありました。とは言え、石原さんはいつも優しくて、一緒に頭を悩ませていらっしゃいました。それだけ強い想いを胸にご依頼くださったことを、嬉しく思います。

また、フォトグラファーとしても大きな経験をさせていただきました。
「一生懸命働く方たちの姿は美しいんだ」と、改めて写真は被写体と作っていくものだと感じました。石原果樹園の魅力は果物だけでなく、そこで働く人たちであることを、このサイトを見た方にも知っていただきたいです。
石原さんと皆さんが、制作したWEBサイトを大切に活用して下さっていることが幸せです。

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今後の石原果樹園について

石原氏)
昨年(2020年)はコロナの影響で大変な年でした。もともと中国からの観光客が多かったのですが、その売上が全部なくなってしまって。
果物を育てても、お客様が来なかったら無駄になってしまう、と不安でした。
でも、ネット販売ができたおかげで、売上をカバーできたんです。売上も大事ですが、そもそも、買いたい人が買える、WEBサイトでいつでも情報が見られる、という状況を作っておくことが大事だと思いました。
2024年にはフルーツカフェをオープンする予定です。

今現在は、お客様が来てくださっているけど、ゆっくりしてくださっているか、と言われるとそうではないので。のんびり滞在して、景色や西大寺を楽しんでもらえればいいな、と。あと、イベントをしたいと思っています。
果物を採ってきて、親子でパフェをつくってもらえるようにしたり、地元の企業と連携して、たとえば車の試乗会にきたお客様にカフェのチケットを渡して、来園してもらえるようにしたり。
イチゴや桃など、友人の農家の商品を置けたらいいなとも考えています。
いろいろ想像していたら、また睡眠時間が無くなりそうなんですけど(笑)。


岡﨑氏)
ちゃんと寝てください(笑)。これからも私たちが、しっかりサポートしますので!


石原氏)
ありがとうございます。皆の笑顔を見ながら生きていきたいので、そのためにがんばっていこうと思います。

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2021.2.16
取材:藤井美也子

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